「空真。ちょっといい?」
「なんですか?」
「藍那の、家のことを聞いてる?」
「いえ、聞いてませんけど」
「わかった。ありがとう」
「何かあるんですか⁈藍那は両親がいるんですか⁈」
「いないわ。幼い頃に亡くして、祖父母の所でお世話になっていたらしいけど高校生に上がると同時に一人暮らしを始めたらしいの。
藍那がいなくなったことは、藍那の祖父母から連絡がきたの。

藍那から、電話がかかってきて意味不明なことを言っていたらしくて学校へわざわざ連絡をくれたわ。
私たちは念のため、藍那の家へ足を運んだけれど藍那はいなかった。大家さんに頼んで鍵を開けてもらったけどそこに藍那の姿はなかったの。その代わり、机の上にはこんなものが置いてあったわ」

そう言い、先生は一枚の紙切れを渡した。
そこには藍那の字で、こう書かれていた。

≪ありがとう。さようなら。

愛した人、愛してくれた人、好きだと言ってくれた人、すべての人への感謝が私の誇りです。

私は大丈夫です。
事を大事にしないでください。
すぐに、帰れるはずです。
心配しないでください。

大切な人たちは、これからも私の中で輝き続けます。

ありがとうございました。


結城藍那≫