そして現在。
俺も彼女も初めての恋愛の月日に驚きながらも、日に日に好きを増していた。
彼女の笑顔、彼女の仕草、彼女の声、彼女の全てが俺を支配した。

そして、知らなかった部分も出てきた。
ちょっとした些細なことで嫉妬したり、心配性になったり、俺のことを気遣うあまりに自分のことに鈍感さが増していた。

ここで、遅くなったが彼女の紹介と俺の紹介をしよう。
まずは俺から。

神城空真(かみしろくうま)
ごく普通の一般的な頭の悪い運動しかできない男子高校生だ。

結城藍那(ゆうきあいな)
俺の彼女であり、いつも笑顔で何にもとらわれない根の強い子だ。

と、まぁ自己紹介したところで前置きが長かったわけで今更なんだよって奴のが多いかもしれない。

これから話す事は俺の彼女、結城藍那行方不明事件だ。
いつもの日常を送っていたはずなのに、彼女を行方不明にまで追い込む人たちが存在していることに、この時はまだ俺たち二人は気づいていなかった…。



今日も一緒に帰る。
これは、毎日恒例になっていた。

けれど、この時から歯車は狂い出していた。

彼女への誹謗中傷は止むことなく、なおも今続いている。けれど、彼女は怒ることもなく泣くこともなく、ただ毎日をいつものように過ごしている。俺の好きな、笑顔で。

あれから、彼女は1人でいる事が多くなった。誰も寄せ付けないよう、音楽を聴きながら…。