5年後。

大学進学をした俺は、23歳を迎えた。
高校で進路相談をずっと受け続けて、決めた進路先は藍那に話していた【体育教師】の仕事に就くことを決めた。

藍那との思い出が詰まった、高校時代にたくさんの試練や勉強、運動、思い出が一番強い高校への体育教師になることが内定されていた。
母校からの推薦もあり、思ったより早く教員免許が取れた為に来年度の4月から体育教師をする。

今日から1ヶ月間、学校に馴染むための教育実習の延長として行く。
教育実習では被らなかったが、俺の後に教育実習をしている俺と同じ内定が決まり4月から同期になる人も同じ期間やるらしい。

まず、学校へ行ったら男子更衣室で着替えてから2年生担当のため2年生の職員室へと向かう。そこで、もう一人の人を待ち仕事内容を確認して仕事開始。

俺は、早くに目が覚めたために早めに学校に着き支度をしていた。
早くに来る生徒たちは、相変わらず人混みに馴染めない子達ばかりで。

2年教員室。
緊張しながらも、そのドアを開けた。
そこには、何も変わらないあの時のままの光景があった。人も、変わらない教員たちだ。
暖かく迎えられ、積もる話をしながら時間が来るのをひたすら待っていた。

いつしか、話題は藍那へと変わった。

「あれから、藍那からの連絡はきた?」
「いえ、まったく…」
「今日から楽しみね。空真は、教育実習の後すぐに学校に呼ばれて会ってないものね」

ニコッと笑う、元担任から言われた一言は謎に包まれた。
確かに、教育実習終了後俺は教授と准教授にすぐに来るように呼び出しがかかっていた。だから、引き継ぎ作業もできないまま俺は学園へ帰った。
だから、後に実習をした女の人を知らない。名前さえも。

「空真の担当は、体育。それは校長から聞いてるよね」
「あ、はい」
「2年生担当だけど、気負わずやってみて。
クラスは元いた教室だからわかるよね。担任は私じゃないけど、頑張って」
「ありがとうございます」

しばらくし、担任と打ち合わせと仕事内容確認後、体育科の教員たちへの挨拶と仕事内容確認をし、2年教員室へ戻った。