その日はとてもじゃないけど学校に行けるような気分じゃ無かった。

母が急性白血病に侵されてから半年たった昨日。
母はついに帰らぬ人となってしまった。


昔から気が強くて、売られてもない喧嘩を買って問題ばかりを起こしてた私を、父は厳しく咎めたし、二つ上の兄は諦めたようにため息をつくばかりだった。

だけど母は、「そのくらい元気がある証拠よ。」と私をかばってくれた。
どんなに時間がないときでもお弁当は必ず作ってくれたし、学校で嫌なことがあったときは話を聞いてくれた。
ほんとに良く出来た理想の母親像みたいな人が、私の母。

それだけに、電話口で弱々しく病気の事を聞かされた時に胸が張り裂けそうなくらい辛かった。

母は治療の為に地元を離れ東京の名医の元へ行った。
着いて行きたいのは山々だが、治療費に加え、兄の大学の入学金のことを考えるとそんな事はとても言い出せなかった。