こっそり翔太くんの手を離して、密かにもだえていると、視線を上げた大谷田さんが驚いた顔をした。
「鏡華ちゃん…?なんで…あ、もしかして翔太に付いててくれたのかな。ありがとう」
「あ…いえ、よかったです。ずっと探してたので」
お互いにペコリと頭を下げた後、訪れたのは沈黙。
だって…いつもはお母さんもいる3人で話すから大谷田さんと2人で会うのは初めてなんだもん。
翔太くんとは今日初めて会ったし。
気まずい雰囲気を感じているのは私だけなのか、大谷田さんはニコニコしながら翔太くんの背中を押す。
「この子は僕の息子でね、今5歳なんだ。話はしてたけど、会うのは初めてだよね?」
「はい。でもすごく人懐っこくて、聞いてた感じとは違うなって思いましたよ」
キョトン、とした顔で大谷田さんと私を交互に見る翔太くん。
さっき会ったばかりの私とお父さんがこんな風に話してたら不思議に思うよね。