グルリと校舎の周りを回っても見つからない。
ついにしょうたくんが立ち尽くしたとき、どこからか足音がこっちに駆けてきた。
「翔太!」
聞き覚えのありすぎる声。
それと同時に弾かれたように翔太くんが私の手を引っ張って走り出した。
ちょ、えっ私も行くの!?
私の手なんて振り払ってしまうと思ったのに、低い体勢になりながら小走りで向かった先には思った通り…
「とうちゃん!」
「…大谷田さん……」
息を切らせたスーツ姿の大谷田さんが翔太くんの前にしゃがみ込む。
「翔太…とうちゃんの手を離すなって言っただろう」
「ごめっ…ごめんなさい!とうちゃん…」
ギュッと大谷田さんの首元に抱きつく翔太くんを見て、今度こそ鼻血が出るかと思った。
実際に鼻血を吹いたりしたらビックリされちゃうかもしれないけれど、目の前の2人が可愛すぎて。
だって、大谷田さんまで自分のこと「とうちゃん」呼びするとは思わなかった。