「‥‥ッ、‥‥!!」


本気を出し始めたのか
男は次々と拳を振り下ろしていく

それに まだ余裕綽々としているのだ



「‥‥フッ‥‥」


「何が面白い?」



私はそんな男を挑発する笑みを浮かべると
再び 小さく息を吸い込んだ

私はまだ…負ける訳にはいかない



「やっと面白くなってきた‥‥な‥‥ッ!!」


「黙れ」


「…っ!?」


私はひたすらに拳を振り翳す
男も私が先程までと変わった事に 気付いたようだ



「‥‥ッお前、誰なんだよ‥‥ッ」



「名乗る必要なんて無い」


冷たく言い返す私
“チッ”と舌打ちが聞こえた気がした


「そろそろ終わり‥‥お前らの総長を探してるんだよね」


私はそう言い放って
トドメを刺そうと腕を振り上げる

その瞬間 背後から気配を感じた



「‥‥そのへんにしといてくれないかな、君」



「誰だ」



「君が探してる、ここの総長だけど?」


振り向くと そこにいた男は
確かに私の探していた男に間違いなかった

…私が殺したい程憎んでる人物に。


「君は‥‥誰なのかな?1人で乗り込むとは‥‥命知らずなのかなぁ」



ずっと憎んでた 男
殺したい程に 憎んでた

歯を食いしばってその衝動に耐えるしかない


「留生、こっち来い」


「‥‥チッ」


「早く」


戦っていた男は小さく舌打ちをしてから
私から離れた