「どうした?」


「來希…今日の夜は少し遅くなる」


外が紅色に染まる頃
私はそう言い残して ある場所に向かった


「誰だてめぇ」


外はもう暗く 私の顔は見えないのだろう


「てめぇらを潰しにきた」


「は?」


次の瞬間 私は容赦なくそいつを殴った
男は鈍い音と共に崩れ落ちる


「フゥ…」


小さく息を吐き 男を冷たい目で見下ろすと
私は 先へと急いだ



「誰だ。止まれ。」


「…」


目的の人物を探して身を潜めていると
背後から男の声が聞こえた


「…その様子だと、うちの族の奴じゃないな?」

「…っ」


男は 静かに近付いてくる
私は スゥと息を吸い込んだ


「答えろ。答えないなら…」


男が掴み掛かろうとした隙を突いて
私は思い切り 腹を殴った


「…ッ!!」


さすがに油断していたのか
男は苦痛に顔を歪める


「…そういう事か。なら俺も…」


「…ッ!?」