「深紗、最近やり過ぎなんじゃないか?」
眉尻を下げて顔をのぞき込むこの男は
うちの族の…副総長にあたる人物
「そんな事ないよ。いつもありがとね、來希」
私をいつも気に掛けてくれる
兄のような存在
「…あんまり無理すんなよ」
「…うん。」
私の頭をくしゃっと撫でると
來希は静かに去っていった
…いつからだろう
私の何かが歪み出したのは
昔はただの素直な少女だったのに
気づいた時には 闘っていて。
翠月姫と呼ばれるようになり
私は皆に恐れられるようになった
…翠の瞳を持つ 最強の姫
強くなりたかった
いや 強くなるしかなかった私にとって
それはある意味望んだ事
…でも私は 強くなる程に
自分を見失っていった。