「行くんだろ、深紗んとこ。」

「おう」

「勿論、俺らも行かせてもらうぜ?」


全員が俺の顔を見て頷いた
お前ら‥‥ありがとな、マジで。


「俺は、深紗を離すつもりはない」


ーーーー深紗。
なんでそうやって 俺らから離れるんだよ


好きなんだろ?

だったらここに居ればいいんだよ

なんで分かんねぇんだよ…ッ



「着いたぞ、湊夜」


「…行くか」


「おう」


車を降りて歩き出す
さすが“最強”と謂われる族だ

漂う気迫が違う

でも この気迫の頂点に立つのが深紗だと思うと
何だか切なく感じた


「おい、誰だ」


背後から声を掛けられた
恐らく ここの下っ端だろう


「深紗を取り戻しに来た」


「は?…何言ってんだ。俺らの頭だぞ」


「それ以前に一人の女だ」


俺の返事はきっと奇妙に思われているだろう
でも 紛れもない本心だった

…深紗は“最強”である前に
一人のただの女


「俺は、愛する人を返してもらいに来ただけだよ」


そう

俺の 誰より大事な人


「返さないなら力ずくでも奪うまでだ」


俺の 一番愛する女