「來‥‥希‥‥ッ!!」
私の体を優しく抱き締める腕
それは間違いなく 來希だった
「どうして‥‥ここに?」
「ちょっと帰りが遅いからな‥‥探してたんだよ」
「馬鹿‥‥」
私は小さく呟く
すると來希は耳元に口を寄せた
「‥‥片付けるぞ」
コクリと頷くと私は來希と背中合わせになった
残りの人数は30人程度
來希の呼吸に耳を傾ける
スゥと息を吸い込んだタイミングで
私達は同時に動き出した
まるで流れる様に倒されていく男達
対して私達は舞う蝶の様に進んで行った
「チッ‥‥」
「終わりだ」
ハルトに止めを刺すと
私はフゥと小さく息を吐いた
「來希‥‥これでやっと“あの”仇がとれた」
「‥‥そうだな」
「うん‥‥」
暫く來希の目を見つめると
私は湊夜達に向き直った
「‥‥永遠に、さよなら」
「「「「「‥‥ッ!!」」」」」
私の小さな呟きが聞こえたのだろうか
全員が顔を歪める
私は翠月姫
これ以上一緒に居たら危険過ぎる
そして何より 正体を知られてしまったのだ
これまでと同じ様に、とはいかないだろう
‥‥もう二度と皆に会う事はないから。
せめて今だけは。
私は倒れている湊夜に近付くと
‥‥触れるだけのキスをした
「‥‥ばいばい」
「‥‥ッ深」
湊夜の声を無視して私は來希に駆け寄る
「いいのか‥‥?」
「うん‥‥もうここには居られない」
私の言葉を聞いた來希は小さく頷くと
そっと手を握って歩き出した
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