ずっと愉しげに笑っていたハルトは
表情を変えた
スッと目を細める
「やれ」
湊夜達を取り囲んでいた奴らが
全員私の方を向いた
「‥‥私一人で十分だわ」
鼻で笑ってやると
一斉に殴り掛かってきた
私は小さく息を吸い込んだ
“ガッ”
1人‥‥
“バキッ”
2人3人‥‥
次々と薙ぎ倒していく
「グホッ‥‥!!」
半分ほどをあっという間に片付けると
残りの奴らは後ずさった
「深紗‥お前、何者‥‥」
「そんな‥‥まさか‥‥!?」
琉斗と戒斗の言葉を聞いたハルトは
笑いながら言った
「お前ら‥‥教えてもらってなかったんだ?ハハッ」
「‥‥」
「こいつは、正真正銘の翠月姫だよ」
“翠月姫”という言葉に反応して
その場の全員が騒然とする
「私がお前らを潰す」
「フッ‥‥面白い」
ハルトは座っていた場所から立ち上がり
私の何mか先に立った
「俺が相手してやるよ‥‥深紗ちゃん」
「チッ‥‥」
思いきり腕を振り下ろしても
なかなか捉えることは出来ない
‥‥だが 今の私には敵わない
「クッ‥‥ッ」
最初に声を上げたのはハルトだった
尚も容赦なく拳を腹に埋める
「グホッ‥‥ッ」
“決着が付く”
止めを刺そうとした瞬間
「深紗、後ろだ!!危ない!」
「クッ‥‥!?」
仲間の1人が背後から
パイプで殴ろうとしたのだ
どうにか躱して体勢を整えようとする
その隙を突かれた
ハルトは近くのパイプを振り下ろしてくる
“避けられない!!”
咄嗟に目を瞑る
その時 柔らかな感触と共に
ふわりと覚えのある香りがした
「深紗‥‥無理するなって言っただろ?」