皆の背中を見つめながら
私はどうしたらいいかを自問自答し続ける
そして遂に奴らが来た
「どーも。お邪魔しまーす」
この口調は間違いなくあの男
私は震える手を握り締める
「お前達、何しに来た?」
「そりゃ勿論、君達の姫を頂きに。」
「ふざけんな!!深紗は関係ない!!」
嶺汰が食いつくように叫ぶ
その様子を見て男はクスクスと笑った
「へぇ、関係ない‥‥ねぇ」
「何が言いたい?」
ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべて
男は私の方を指さした
「深紗‥‥ちゃんだっけ。ちょっと話さない?」
「‥‥」
「俺‥‥君が欲しいんだよね。こっちおいでよ」
手招きをしながらクスクス笑う
私はキッと睨み付けた
「怖いなぁ‥‥でも良いのかな?どうなっても」
「‥‥ッ」
私が大人しく着いて行けば
きっと湊夜達からは手を引く
私は男の方に歩き出した
「‥‥いいわ。その代わり、ここには絶対に手を出さないで。」
「利口な子で良かったよ。‥‥行くぞ。」
開かれた車のドア
私が席に乗り込もうとした時
湊夜の声が聞こえた
「深紗!!やめろ‥‥行くな!!」
「皆‥‥今までありがとね」
湊夜達は私を渡すまいと
奴らの連中の波を掻き分けて車に向かって来ている
「出せ」
そんな抵抗も虚しく
車は静かに走り出した