仕方なくイスに座った私は
耳を澄まして内容を読み取る


「昨日、この辺でNo.3の族が潰された」


「‥‥それが奴らの仕業って訳なんだね」


No.3ともなれば
翠宵にも情報は伝わっているはず

ふと 來希の顔が浮かんだ
突然姿を消した私を皆は責めるだろうか


「‥‥で。」


「‥‥わざわざ宣戦布告してきたって訳か」


宣戦布告

その言葉の重大さが皆分かっているのだろうか


普通の族とは訳が違う
目的の為なら手段を選ばない 卑劣な奴ら

命すらも危ういかもしれないのに。


「望むところだ。俺らが受けて立ってやる!!」


「嗚呼、もちろんそのつもりだ」


低く 決意に満ちた湊夜の声に
胸が締め付けられる


我慢出来なくなって席を立ち上がると
私は湊夜の腕をグイッと引いた


「‥‥深紗?どうした?」


「湊夜。お願い。よく聞いて。」


「‥‥」


私のいつにもなく真剣な様子を察したのか
周りの皆まで 息を飲んでいる


「絶対に手を出しちゃ駄目。絶対に。」


「‥‥俺らなら、大丈夫だ」


「どれだけ危険な族なのか分かってるの!?」


パニックを起こしている様な私に
嶺汰達も驚きを隠せずにいる


「深紗は‥‥何か知ってるのか?」


話を聞いていた琉斗が小さく呟いた

そう 私は知ってるの
でも今は私の素性を知られる訳にはいかない


「‥‥なんとなく、だよ?でも危険なのは分かる」


「心配し過ぎなんだよ深紗。俺らなら平気だって」


「嶺汰‥‥ッ」


湊夜は頭をくしゃっと撫でると
皆を連れて部屋を移動していってしまった