side湊夜
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そっとベッドに横たわる少女の顔に
手を這わせる
「…綺麗な顔だな、本当」
ぽつり、と呟く
白く滑らかで透き通るような肌
これこそ“美少女”というものだと
目の当たりにしている様だ
「ぅっ…ん…」
時折 顔を歪ませているが
悪い夢でも見ているのだろうか
ーーーーあの日見た翠月姫は 確かに強かった
蝶がひらひらと舞う様に 敵はどんどん倒れ
俺は それをただ見る事しか 出来ず
俺の目を捕らえて 放してくれない
美しい彼女は まさに“姫”だった
…ただ 闘いの後に一瞬だけ見せた あの顔
それだけはどれほど時が経っても
頭にこびり付いて離れなかった
俺はもう一度 ベッドの少女を見つめる
「一体、どれだけ重い物を背負ってきたんだろうな…」
俺が彼女にもう一度出会ったのは
運命なんだ
馬鹿らしいかもしれないが 俺は確かにそう思った
“俺が翠月姫を護る”
そう強く心に誓うと 俺は部屋を出た