植物園は、意外にも人が少なく静かだった。

まあ、時間も時間だしね。

ふわりと、微かに鼻を掠める植物の香りが心を洗うように漂う。

「さてと、目的は花だから…この……えーと…この、園芸館?ってとこに行けばいいんですかね。」

京香が植物園のマップを舐め回すように睨みつけている。

「そうなんじゃん?なんか、案内板とか…。」

キョロキョロと天井辺りを見回すと、白い案内板が目に入る。

「あ、京香、あれあれ。ほら、園芸館3って書いてある!」

私が京香の肩を叩いて、案内板を指差すと、京香もこくこく頷く。