にこにこと機嫌良さそうに、京香がチケットを渡してくる。

受け取りながら、私も釣られてにこにこしてしまう。

「え、私京香パパに会ったことないけど…。」

「私がパパに話すんです。」

なるほどなあ。

京香はおしゃべりだからな。

いらんこと言ってないだろうな。

馬鹿でトリ頭だとか。

英語勉強してる動機が不純とか。

それから…。

「…先輩、顔。顔、怖いですよ。」

無意識に睨んでいたらしく、京香が私の眉間のシワをのばす。

「じゃ、行きますか!」

と、京香はいつの間にやら私の荷物を抱えていた。

それを私によこしながら、髪を手ぐしで整える。

「えっ…行くって…どこに。」

「はあ?だから、そこですよ。そぉーこ!」

私が尋ねると、京香は顎で私の持つチケットを指した。