呆れたように、京香がため息をつく。


「んー…、まあ、頼むだけ頼んでみないとわかりませんもんね…。」


よしきた!


と、用件を済ませたらしいクライヴさんが貴志さんから離れていった。


「おっ、先輩、今ですよ‼︎」

京香に背中を押される。

今更緊張してきて、心臓が強く脈打つ。

逆方向に歩いていくクライヴさんの背中を、わたしは必死に追いかける。

この家は…入り口の階段さえ広すぎる。


もし、あの瞳を描けたら。


きっとわたしの中で、すごいインスピレーションが起きる気がする。



「く、クライヴさん‼︎」


私はどきどきする鼓動を押さえつけながら、精一杯の声を出した。