「は、はいあの、わっちが弥生です。こちらこそお世話になって、あっ、チケットありがとうございました、お、おかげで楽しめました。」

言い終わって、私は真っ赤になってしまう。

緊張し過ぎて言葉がドギマギする。

呂律がまともに回らない。

「あっはは、先輩緊張し過ぎですから!わっちって何⁉︎確かにパパかっこいいけどー‼︎」

京香がいつもの如く笑い出す。

そして、京香パパも声を押し殺して笑っている。

この親子は…

わたしは碓氷さんに救いの眼差しを向けるながら、目で

(いつもこんなんなんですか?)

と訴える。

碓氷さんはサングラスをかけているので目はわからないけど、口元で弧を描いて、いつもこんなんです、と返してくれた…ように見える。


まったく…藤原家は大変だ。