眠気を覚まそうとするわたしを邪魔するように、小指と薬指の間から見える風景は、わたしに瞬きすら忘れさせる。

大きな門の向こうに見える、宮殿みたいなおっきな建物。

白が基調で、所々金とかが使われていて、上に目をやるとバルコニーがある。

「なに、これ…。」

「うちですけど。」


助手席から降りながら、京香が何でも無いことのように言う。


…なるほど、わたしはまだ眠っているのか。

ほっぺをつねる。

いたい。


夢のような家だ。

できることなら、わたしが住みたいくらい。