もう車の時点で色々ツッコミどころがあり過ぎて、わたしは口を開けたまま唖然としてしまっていた。

「す、すげ〜…」

「そうですか?浮くと思って、ベンツとかはやめといたんです。正解だったみたいですね!」

いや、これでも十分不正解でしょ。

ていうかベンツあんのかい。

「ま、乗ってくださいよ。快適ですよ、静かだし。」

京香に促され、車内に乗り込むと、運転手を見てぎょっとする。

黒いスーツに、サングラス。

で、ちょびひげのいけてるおじさま。

でも、なんての…危ない業界の人っぽい雰囲気がムンムンしている。

「お、じゃまします…。」

へらっと笑ってみると、意外にもおじさまは掠れた優しい声で

「ええ、ゆっくりくつろいで下さい。」

と、関西訛りで言った。

あ、なんだ、いい人そう。

と、思った矢先に京香が助手席に乗り込みながら