わたしの五感に、大きな亀裂を入れたのは、そこにいた、その人だった。


瞳に映るペチュニアが、彼の碧眼と混ざって、群青色を彩っていた。


若いのに髪は白髪で、肌も色が映るんじゃないかってくらい色白だ。

スーツのポケットに手を隠し、中腰で、曲げられた背は弧を描き、花と向き合う。

その姿は、いままで見た何よりも、美しくて、背景に溶けてしまいそうで…

もっと、ずっと見ていたい。

そう思わせる魅力がある人だった。


花よりもその人に見とれていると、彼は視線に気づいたのかわたしの方を見た。