また会おうね。
今度は平和に。
ずっと一緒だよ。
大好きです。
毎日を平凡に過ごしていた、私、佐倉彩芽は中学二年生のころ、タイムスリップをしてしまった。
そして、新選組の隊士となり、毎日が死と隣り合わせの日々だった。
それでも、楽しかったんだ。
大切な貴方と追いかけた、夢は。
でもそれも、終わろうとしている。
タイムスリップをした文久三年から、大体五年の月日がたち、私は十九歳になった。
私は、上野寛永寺で原田左之助と共に彰義隊として戦っていた。
周りにはもう既に味方は居なくなっていた。
「彩芽...。大丈夫か? 」
背中合わせで戦っている左之さんから聞かれるが、だいぶ疲れているのだろうか、左之さんの声は細かった。
「うん...。大丈夫」
そして、いくら元新選組隊士とはいえ、女の身である私にとってこの戦いはきつかった。
そう思いつつ、目の前の敵を斬る。
そんな時だった。
パーンとすごい銃声が響いたと共に、後ろにいた左之さんが崩れるように倒れた。
右肩からは血が流れている。
私は敵がいるにも関わらず、左之さんにかけよった。
「左之さん、大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ」と微笑んだ左之さんの顔からは赤みが引いていた。
左之さんは再び立ち上がる。
それに合わせて私も立ち上がったとき、私の肩に激痛が走った。
肩から生暖かいものが流れるような感触がした。
ちらりと肩を見ると、肩が真っ赤に染まっていた。
ーーーーー血だった。
右肩を動かそうとして回したが、動かない。
この肩では刀を振るえないと思い、刀をしまった。
そして、小太刀を鞘から抜き、左手で構えた。
最新の武器を相手に小太刀での戦いは流石に辛かった。
私達の周りの敵を倒したとき、既に私と左之さんは限界を迎えていた。
左之さんと私は近くにあった大木によりかかって座った。
隣の左之さんの息は荒い。
そして、私の意識も朦朧としていた。
これで最後か、と思い私は小さな声で呟いた。
「私...ね...。昔から...左之さんが...、好き...だったんだ...」
私の右の手のひらが暖かく包まれた。
ーーこんなに豆のある手は、左之さんだ
「俺も...、好きだったぜ...、彩芽のこと」
こんな時に心が結ばれちゃうなんて、切ないな、私は思った。
「この...、たたか...いが...おわっ...て...落ち...つい...たら...。
結婚...、しよう」
まさかの死に際でのプロポーズ。
「う...ん。
ずっ...と、一緒...だよ」
「ああ」と笑顔になった左之さんは目を閉じた。
それから再び目を開けることもなく、隣から呼吸をする音も聞こえなくなっていた。
そして、私もなんとかつなぎとめていた意識を手放した。