「時間が流れていくにつれて、彼と過ごした思い出がどんどん遠ざかっていく。最近よく思うんだ。透真の拗ねた顔、怒った顔、笑った顔はどんなんだったけなって……」



時間の流れは本当に、酷だ。

月日が経てば経つ程、どんなに大切な思い出もどんどん薄らいでいく。



目の前で涙を流す明来さんを見て、どうしようもなく苦しくなった。



「天野さんは、今でも明来さんの事、とても大切に想ってますよ……」


そう言うと、彼女は泣きながら「ふふっ」と笑った。




「馬鹿……本当に、馬鹿なんだから。何で、私の前から、いなくなったのよ。何でっ……あんな馬鹿な事、したのよっ……」


明来さんも、まだ天野さんを大切に想ってるんだ。

2人はまだ想い合ってる。
なのに引き裂かれた。


きっと天野さんが殺人を犯してしまったのは、明来さんのため。

でも明来さんは、そんな事、望んでなかった。



あぁ、なんて悲しくて切ないんだろう。