すぅっと大きく深呼吸した。
「私、天野透真さんに頼まれてここに来ましたっ!」
天野さんの名前を聞いた途端、彼女は少し顔色を変えて、黙り込んだかと思ったら。
「立ち話もあれだから、上がって……?」
小さく微笑んで、私を家の中に入れてくれた。
中は、壁は所々汚れたり、ひび割れてたり。
畳もかなり古いのか変色していた。
「ボロアパートで、驚いたでしょう?冬にはね、隙間風で寒くて……」
苦笑いしながら、明来さんは冷たいお茶を出してくれた。
「ありがとうございます……いただきます」
「あなた、名前は?」
「川瀬、彩菜です。あ、高校2年生です」
「高校生かぁ。彩菜ちゃん、まだまだ若いわね」