『最後まで話聞いてよ、ここからが凄い所なんだから』
瑠璃がため息まじりに言った。
こ、ここからが……?
胸をドキドキさせながら、固唾を呑み込む。
『なんと木下晴をリンチしようとした、12人……
全員病院送りよ』
「病……!?」
私は絶句した。
じゅ、12人で、たった1人で下級生の木下君をいじめようとしたの?
いやいや、そこじゃない。その上級生達を木下君がやっつけた……!?
木下君って、まさか、本当に怖い人……?
私なんかが聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。
『ていうか、その話知らないのあんたくらいね?本当、情報に疎いんだから』
私が金魚のように口をパクパクさせていると、瑠璃が話を続けた。
「そんな有名な人なんだ……」
「うん。しかも顔がイケてるから密かに女子からも人気。まあ不幸にも彩世を好きになったみたいだけど」
「不幸って……」
まあ、確かに不幸かもしれない。そんな武勇伝を知らない地味子に告白しちゃうなんて。
私は軽いパニックに陥りながら、ふと、私がついOKを出してしまった後の木下君の事を思い出した。