電車に乗ったあと、私達は歩いて学校へと向かっていた。
一時は取り乱したものの、まだチャンスはあるもん。
学校までは徒歩10分。それまでに何とか言えれば……!
「あ、の、木下君」
「晴でいいっすよ」
「は、晴君……あのさ」
「はい!」
お日様のような眩しい笑顔。
そういえばさっきから、ずっと私の歩幅に合わせて歩いてくれてる。
駅で助けてくれたし、本当はすごく優しいんだな……。
……だめだ、どうしても言えない……。
「……晴君は、何の部活入ってるのかな……」
結局、話を逸らしてしまった。こうやって先延ばしにするのが一番ダメってわかってるのに!
晴君は私の心の葛藤を知る由もなく、「入ってないですよ」と首を横に振る。その仕草に私は首を傾げた。
「あれ?でもこの前部活があるからどうのこうのって……」
「ああ、たまに運動部の数合わせに呼ばれるんですよ」
「へー、運動得意なんだ!」
「好きなだけっすよ」
はにかんだように笑う晴君。
んん……なんでこんな良い人が私なんかを好きに……。
そこで私は頭に疑問符を浮かべた。
そういえば、私と晴君話したことないはずなのに。なんで告白なんかしたんだろう。