「...ぃ...い...ぉい...おい!起きて!神代ちゃん!」
唐山くんの声で目が覚める。
あれ、私いつの間に寝てたんだろ。
「もう帰るよ!起きて!」
唐山くんに肩を大きく揺さぶられた。
「もう起きてるよ。」
いつの間にか色乃くんも起きてる。
「お!色乃!起きたのか!帰るぞ!もうすぐ7時だから。」
「あれ...もつそんな時間?」
「バーカ、どんだけ寝たと思ってんだよ!」
外はもう真っ暗だった。
「先生は?」
「さっき注意しにきてた!早く帰りなさいよーって!」
唐山くんが先生の真似をする。
よく特徴が掴めている。
「...じゃあ、帰ろっか!」
色乃くんが私の手を取り、笑う。
ものすごい力で引っ張る。
少し痛い。
「わっ!ちょっと待てよ!」
そんな声が遠くで聞こえた。
「てか、そんな走っていいの?」
「ダメだと思う。でもなんか楽しいからいいや!体痛いけど!」
そう笑う色乃くんの横顔は輝いていた。
「バカだねぇ〜」
私もつられて笑う。
タタタタタ...
ん?なんだ?
「あれっ?唐山くん?」
色乃くんが振り返る。
唐山くんは信じられない速度を出している。すると突然私たちの前で止まった。
随分、息が荒い。
「ちょ...鍵返してきたから...一緒に...帰ろ...」
必死だなぁ...
「いいよ!3人の方が楽しいだろうし!」
色乃くんはニカっと笑い、唐山くんの前に手を突き出す。
唐山くんは一瞬驚いた顔をした。
「お...おう」
と言って手を握った。
「ほら...」
私も出す。
唐山くんの顔に光が増す。
「へへっ!おう!」

ギュッと私の手を包んだぬくもりは、思ったよりも冷たくて、乾いていた。