こうして私は今現在の13歳になり、ここ釜造中学校に転入した。
でも、私はそこで運命の再会を果たす。
「神代百合です。よろしくお願いします。」
私は深々と礼をする。
拍手が起こる。
「はい。では、神代さんは〜...翠河くんの隣で。あ、あの誰もいない窓際の隣ね。」
と、2年A組の担任、安口先生は私に笑いかけた。
「はい。」
私は落ち着いて席に向かった。
それにしても...翠河って聞いたことあるなぁ...
気になった私は『翠河』の前の席の唐山という一見チャラそうな男子に聞いてみた。
「ねぇ、唐山くん。」
「おっ?なあに?神代ちゃん?僕に何でも聞いてよぉ〜!」
既にうざい。
「あ...あのね、唐山くん。この隣の『翠河』って子、なんで学校来てないの?」
と、私が聞くと、途端に唐山くんは不機嫌な顔をして
「なんだよー!俺を前にして他の男の話かよ!まあいいや...そいつは好きにならない方がいいぞ。俺、そいつの唯一の友達なんだけど、なんか全然喋んないし、ちょっと変わってるから...不登校児だし。」
彼は急に真剣な眼差しになる。
「へぇ...なんで来ないの?私はそれを聞いてるんだけど。」
「...強気だね。なんでっていうと...あいつ何も話さないし、ちょっとクラスでは浮いてたんだよ。んで...ちょっ〜といじめ?られてた...のかな?だから、だと思うけど...」
唐山くんは話終わると私の瞳を見つめる。
「お前の目、あいつに似てる。ちょっと寂しそうなとこ。」
そんな風に言って、柔らかく笑う。
「唐山くんはずっとそんな顔してたらモテるのに。もったいないね...」
と、私が笑うと、何故か唐山くんの顔が赤くなっていく...耳まで。
「お、俺...別にこれでもモテるし...なめんなヨ...」
と言いながら、はにかむ。
「そっか...」

ーーキーンコーンカーンコーン
「ん...はっ!寝てた!」
私が居眠りしてる間にいつの間にか授業は終わっていた。
そして私はふと、窓の外を見た。すると、薄い翠のかかった髪をした男の子が登校?しているようだった。
周りがざわめく。恐らくその子はさっき唐山くんが説明してくれた『翠河』って子...
「私...見覚えがある...あの子、知ってる!!」
私は気づけば階段を駆け降りて、彼の元へ走り出していた。
「っ...はぁ...はぁ...翠河...くん?」
私は彼の前に立つ。
「...僕のことだけど。どうかした?」
彼はまるで木漏れ日のような優しい笑顔で私に微笑みかける。
ああ...懐かしい。
私は彼の翡翠のような瞳を見据える。
「翠河っ...じゃなくて、色乃くん!私のこと...覚えてる?」
彼は一瞬、戸惑いを見せた。でもすぐに笑って
「百合ちゃん?久しぶりだね!可愛くなっちゃってさ!」
ニコッと色乃くんは私に微笑みかけて、手を掴む。

あ。やっぱりだ...この感じ...私知ってる。




ギラギラした太陽光ではなくて、弱く儚げな陽の光。

優しいなぁ...

私たちの足元で揺らめく木漏れ日は何故かいつもより、煌めきを増していた。