それは二人の13歳のお話。
私がまだ3歳の時、火事で両親を亡くした。
家は全焼した。

私は従姉妹の家に引き取られた、皆いい人で私を歓迎してくれた。

そして、4年前の夏の日。近所で花火大会があると聞き、私と従姉妹の美咲は浴衣を来て出掛けた。
そこで私は不思議な少年に出会った。
美しい翡翠の様な瞳をしていた。
名前は翠河 色乃という、珍しい名前だった。
彼は近寄り難い雰囲気を持っていたものの、わたし達はすぐに打ち解けた。
「ねぇ、百合ちゃん。」
「なーに?色乃くん?」
私は綿菓子をつまんで、口に放る。優しい甘さが広がった。
「百合ちゃんさ、もし僕が遠くに行ったとしても忘れない?」
「...わかんないな。忘れるかもしんない。」
すると色乃くんがこっちを見て
「そっか、僕ね。フランスに留学するんだ。」
彼は嬉しそうに瞳を潤ませる。
フランスに留学ということは彼の夢に近づく。
彼は芸術センスの塊のような100万人に1人の逸材らしい、そのため今度フランスでやる展示会に是非参加して欲しいと言われたのだそう。
「へぇ...そっか!いいんじゃないの?」
私は少し寂しかったが、笑って誤魔化す。
「嘘つくの下手だよね。」
色乃くんが大きな翡翠色の瞳を細ませて笑う。
「そう...かな?」
「百合ちゃん、素直だもんね。」
彼は少し手元を眺める。
すると、私の手を掴んで
「僕、好きなんだ。百合ちゃんのこと。きっとこれからもずっと好き、大好き。」
彼は少し顔を赤くする。でもそれは花火の明るさのせいかもしんないけど、私から見るとすごく綺麗で、私も顔が熱くなった。
「じゃあ、ずっと傍にいよ?死ぬまでずぅーっと!色乃くんがどんな遠くに行ったとしても心はずっと隣り合わせだよ!」
「うんっ!約束っ!」
色乃くんはその日多分、一番の笑顔を見せた。

こうして私たちの小さな約束が、生まれた。