僕に抱き着いて寝た倉橋だけど、運ぶのに苦労はしなかった。
ちなみに言えば、寝たのは同じ部屋だけど決して一緒に寝たわけではない。
倉橋は僕がいつも使うベッドで、僕はベッドを背にもたれてだ。
本当はリビングのソファーで寝るつもりだったのに。
コイツが寝ながらも変わらない馬鹿力で、僕の腕を離さなかったわけで。
……おかげさまで、体の節々が痛い。
「早くしないと遅刻するよ。」
特に痛む腰を抑えながら、とりあえず顔を洗おうと洗面所へ向かう。
「ちこく……?」
「うん。あ、風呂は自由に使って良いから。服は脱衣所に置いといて、アンタが風呂に入ってる間にアイロン掛けておくから。」