10段ぐらいの石段を上って、和泉くんのあとに続く。
たくさんの人が安らかに眠る墓場は、意外と広かった。
……そして再び和泉くんが足を止めた、奥にあるお墓の前。
「……久しぶり。父さん、母さん。」
〝和泉祐介〟
〝和泉沙織〟
お墓の側面に彫られてある、1番新しい2つの名前。
和泉くんのお父さんと、お母さん……。
「……父さんは母さんを庇って。母さんは僕を庇って……死んだ。」
「庇って……?」
そっか……和泉くんのお父さんとお母さんは、優しい人だったんだ……。
私の両親とは、全然違う……。
もしそんな状況になったとしても、両親は私を庇ったりなんか絶対しない……。