想いは一緒。
だけど、その表し方は全然違う。
人それぞれの、恋の仕方。
「……好きだ。」
しずくを自分のものにしたいと想う、僕の想いも。
〝恋〟
「……松江。」
「ん。」
「僕、松江兄に会ってくる。」
しずくを手放す気は無いけど。
「僕は奪うと言ったんだ。誰も、差し出せなんて言ってない。」
「「…………?」」
「男なら、奪われる直前まで彼女を守り通せってこと。」
日は暮れた。
空を包むのは、だんだんと黒く染まっていく藍色の空。
部活を終えた生徒たちが、帰って行く。
「……本当、和泉って真面目。さすが優等生。」
「下から2番目の人に言われても、全然嬉しくないし。厭味にしか聞こえない。」
「厭味だよ!!」
僕と松江のやり取りに、ほんの少し、大河内が笑った。