そう、ずっと……。


ずっと、兄として、自分の妹を託せる男を待っていた……。



それが、僕……。


『……いつから、合気道をやっている?』



「でもそんなのっ、大地くんだけが辛い想いして……!」


「……美衣奈、兄さんだけじゃない。しずくだって、辛いんだよ。俺たちも……辛い……。」



〝つらい〟


その言葉の重みが、今の僕には分かる。



「っ……。」


「辛いから、今が辛いから……進むんだ。」


「すすむ……?」



「今を変えて、未来を変えて……。……いつか、みんなが心の底から笑えるように……。」





松江大地は、しずくが好きだから故に、拳を振るった。


大河内美衣奈は、そんな松江大地が好きだから、しずくの見張り役として関係を保った。


松江潤平は、そんな大河内美衣奈が好きだから、傍で彼女を支え続けた。