「え……?」
渡してくれた彼は上級生だった。
私の3つ上の6年生で、話したことはそれまでに無かった。
だから急にパンジーを渡されたとき。
私は目が点になるほど驚いた。
「これをやる。やるから、オレのものになれ。」
彼の名前は、松江大地。
そう、今では私に愛情と言う名の暴力を振るう、あの大ちゃん。
「オレの名前は松江大地。倉橋しずく、オレの女になれ。オレがお前を守ってやる。」
当然、当時の私が〝女〟とか〝守ってやる〟とか、そんな詳しいこと分かるわけない。
私は元々女の子だし、一体何から私を守るというのか。
そのうえ私は人を信じられなくなっていたから、彼の言葉を理解しても、信じることは出来なかった。