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 『それ……』


 その飴は私がいつも持ち歩いている飴だった。


 どうして彼が持っているのだろう?

 さっきぶつかった時に落としたのかな……?


 「行こ」


 飴を口に入れ再び歩き出す彼。

 私もその隣に並んで歩き出した。


 「好きなんだ」

 『えっ…』

 「この飴」

 『……ですよねー』


 笑顔で言う彼にドキドキした。



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