「いいんですか、ほっといて」

 一見野球少年のようなスッとした子がいとんくん。

 いつもはにかんだように微笑むいとんくんは、大体敬語を使う。

 温厚だけど、キチッとした人で、典型的なA型という感じがする。

「あんなん知らん」

 関西弁を使わない僕らの地域で、不思議な感じがする愛知の声。

 休み時間が終わって教室へ戻ると、・・・ここからが問題だった。

 突然清香が走ってきて、

「ちゃんと返事してくれないならOKってことだよね」

 と強気な態度をみせた。

「清香、やめなよ」

 生太があきれるように言った。

 生太は僕らより10cm以上小さい135cmくらいの小柄な子。

 小動物みたいな目で、女子にも男子にも好かれる可愛い子。

 よく女とか年下に間違われる。

「お前ウザイねん。うっさい」

 5年生で身長160cm以上ある愛知が150cmくらいのさきかを見下ろす。

「なんで?」

 そのまま無視しようとした愛知の腕を掴んだ清香。

 愛知はその腕を払った。

 さっきと同じだ。