「ほら、目覚ましてよ」
「…………ん……」
彼女のベッドの上で目が覚める。あぁ、そういえば昨日泊まったんだっけ、なんて微睡みの中で思いながら俺は、言葉を発した女の子をベッドの上から見つめていた。
「んー、いい風ー」
俺のことなんて意にも介さず、彼女はベッドの脇にある窓を勢い良く開ける。その少し後、彼女の髪そよ風が靡かせた。嬉しそうに右手で左側の横髪を押さえる彼女を見つめていると、自然に笑みが零れる。
「……はは」
「何笑ってんのー?」
「ん? 可愛いなぁと思って」
「……う、ばーかばーか。朝ご飯作ったけどもう知らない」
「ちょ、ちょっ? 美由?」
不服そうな顔で俺を睨んだ彼女は、もぞもぞとベッドの中に入って俺の腕を掴み、べっと舌を出すと目を閉じる。
「あー眠いなー」なんて言う彼女の頭を撫で、数分そのままでいてみたはいいけれど、さすがに俺も腹は減ったわけで。彼女が何を作ったのかはわからないけど、前みたいに食べないまま放置すんのももったいなさすぎる。そう思った俺はベッドから下りようと足を床に付いた。
「みーゆー。朝飯作ってくれたんだろ? 起きてよー」
「ずるいじゃんか自分ばっかり今まで寝ててさぁ……私も、もう少しだけ……」
俺の腕を掴んで離そうとしない彼女。俺は一度溜息をつくともう一度ベッドに横になり、腕枕をしてやると「十分だけだぞー」と呟いた。
……それにしても。せっかく晴れてるんだし、出掛けるにはもってこいだな。ご飯食べた後に一旦自分のアパートに帰って車持って来ようか。ゆったり二人でドライブでもいいな。買い物とかそういうの考えずに、ただただ車走らせて話をして。あぁ、いいかも。今までやったことないもんなぁ。
◆ ◆ ◆
――美由の家でご飯を頂いた後に、一回家に帰って準備をして、もう一度外に出る。車の鍵を開けてエンジンを掛けて、彼女が大好きなバンドのCDをプレイヤーに差し込み緩いBGM代わりに。
よし、これで車の方はばっちりだ。後はあの子のアパートに戻って、あの子が隣に座るだけ。確か、待ち合わせの時間は午前十一時。よしよし、余裕じゃん。さすが俺。
俺と美由の好きな曲が流れる。鼻歌で歌いながら車を走らせると、やがてあの子のアパートに到着した。ちゃんと外で待っててくれたみたいで、ぱたぱたと駆け寄って来た彼女は迷いもせずに助手席に乗り、シートベルトを着用する。
さっきとは全然違う格好。いつもの彼女。軽い化粧をして、服装は彼女のお気に入りのワンピース。ふわりと香水の香りが鼻を擽り、思わず彼女の頭を撫でた。
「っう、えっ? 何、どうしたの?」
「なんとなく。じゃあ出発させっぞー」
「ん、りょうかーい」
楽しそうに笑う美由にこっちも笑顔を返し、ギアをチェンジさせると車を再び発進させた。
「…………ん……」
彼女のベッドの上で目が覚める。あぁ、そういえば昨日泊まったんだっけ、なんて微睡みの中で思いながら俺は、言葉を発した女の子をベッドの上から見つめていた。
「んー、いい風ー」
俺のことなんて意にも介さず、彼女はベッドの脇にある窓を勢い良く開ける。その少し後、彼女の髪そよ風が靡かせた。嬉しそうに右手で左側の横髪を押さえる彼女を見つめていると、自然に笑みが零れる。
「……はは」
「何笑ってんのー?」
「ん? 可愛いなぁと思って」
「……う、ばーかばーか。朝ご飯作ったけどもう知らない」
「ちょ、ちょっ? 美由?」
不服そうな顔で俺を睨んだ彼女は、もぞもぞとベッドの中に入って俺の腕を掴み、べっと舌を出すと目を閉じる。
「あー眠いなー」なんて言う彼女の頭を撫で、数分そのままでいてみたはいいけれど、さすがに俺も腹は減ったわけで。彼女が何を作ったのかはわからないけど、前みたいに食べないまま放置すんのももったいなさすぎる。そう思った俺はベッドから下りようと足を床に付いた。
「みーゆー。朝飯作ってくれたんだろ? 起きてよー」
「ずるいじゃんか自分ばっかり今まで寝ててさぁ……私も、もう少しだけ……」
俺の腕を掴んで離そうとしない彼女。俺は一度溜息をつくともう一度ベッドに横になり、腕枕をしてやると「十分だけだぞー」と呟いた。
……それにしても。せっかく晴れてるんだし、出掛けるにはもってこいだな。ご飯食べた後に一旦自分のアパートに帰って車持って来ようか。ゆったり二人でドライブでもいいな。買い物とかそういうの考えずに、ただただ車走らせて話をして。あぁ、いいかも。今までやったことないもんなぁ。
◆ ◆ ◆
――美由の家でご飯を頂いた後に、一回家に帰って準備をして、もう一度外に出る。車の鍵を開けてエンジンを掛けて、彼女が大好きなバンドのCDをプレイヤーに差し込み緩いBGM代わりに。
よし、これで車の方はばっちりだ。後はあの子のアパートに戻って、あの子が隣に座るだけ。確か、待ち合わせの時間は午前十一時。よしよし、余裕じゃん。さすが俺。
俺と美由の好きな曲が流れる。鼻歌で歌いながら車を走らせると、やがてあの子のアパートに到着した。ちゃんと外で待っててくれたみたいで、ぱたぱたと駆け寄って来た彼女は迷いもせずに助手席に乗り、シートベルトを着用する。
さっきとは全然違う格好。いつもの彼女。軽い化粧をして、服装は彼女のお気に入りのワンピース。ふわりと香水の香りが鼻を擽り、思わず彼女の頭を撫でた。
「っう、えっ? 何、どうしたの?」
「なんとなく。じゃあ出発させっぞー」
「ん、りょうかーい」
楽しそうに笑う美由にこっちも笑顔を返し、ギアをチェンジさせると車を再び発進させた。