「……俺、からかってるつもりないんだけど」
ガタン、という椅子の足が床を打つ音と、イラついたような声が聞こえたのは、ほとんど同時。
私が竹内のほうに視線を向けるより先に、視界に割り込んできたきれいな手。
「ちょ……っ」
私が持っていたペンごと手を掴まれて、バッ、と顔を上げた瞬間、目に飛び込んできたのは間近に迫る竹内の綺麗な顔。
ちょっと、なにするの。そう言いかけていた唇は、そのままのかたちで固まってしまった。
何も言えずに息を呑む。
────竹内がすごく整った顔をしているのは、もちろん知ってた。
……だけど。
こんなに熱くてまっすぐな視線を向けてくるなんて、今まで気付かなかった。
「た、竹内」
やっと出てきた私の声は、さっきまでの威勢のよさが嘘のように、自分でも驚くくらいにか細くて。
手を上から机に押さえつけられて、手首がジンジンする。
ふいに身をかがめた竹内の顔が近付いてきて、どうしてか強く抗うことができなかった私は、それでも反射的にギュッと目を閉じた。
……瞬間。