私のそんな言葉に、竹内はペンを回していた手を止めた。
「……会長。俺、いいこと思いついた」
いつになく真剣な声でそう言うものだから一体なにごとかと思って、竹内の次の言葉を待つ。
すると。
「会長、俺と付き合えばいいと思う」
「……」
口調は真面目なまま、出てきた言葉はいつもの女たらしのセリフ。
私は一気に肩から力が抜けた。
「はぁ」
思わずついたため息に、竹内は眉を顰めて私を見る。
「なんでため息?」
「だって、相変わらず軽いんだもん。せっかくだけど、そういうからかいには乗らないから」
もういちど、はぁ、と息をついて。
私は手元のプリントをパラリとめくり、作業に戻ろうとする。
おしゃべりはここまで。
そんな無言の意志表示のつもりだった。
────のに。