「俺、今フリーだって言ったじゃん。遊ぶ相手がいなくてさびしいわけ。放課後ちょっと付き合ってくれるくらいいいでしょ。ホラ、行くよ。会長もはやく準備して。何か食べて帰ろ」
「ちょ……っ!」
グイッ、と強引に手を引かれ、私は慌てて自分の鞄を掴む。
そのまま、引っ張られるままに生徒会室を後にした。
「会長とデートなんてうれしいなー」
「……今日はまだ残るつもりだったのに」
もうすぐ体育祭だから、やらなきゃならない仕事はどっさりあったのに!
なのに、どうして私は抵抗できなかったんだろう。
「いいじゃん、明日から頑張れば。俺も手伝うし」
そう言って振り返った竹内は、心なしか嬉しそうな顔をしていて。
それがなんだか意外で、それに。
「竹内が私の仕事を手伝う!?」
いつもは自分の仕事しかしない竹内が!?
いつもはさっさと自分の仕事だけ終わらせて、女の子と遊びに行っちゃうのに!?