お昼ご飯
今日のお昼ご飯!!
「オムライス…♡」
「そんなに嬉しいの?」
「奇跡でしかないね」
「あっそ。…で、その傷だらけのヤンキーが?」
「え?だから終わりだよ。カイロ渡して走って帰ったもん」
「へえぇ…勇者だね」
「あたし実はマリオだよ」
わくわくしながらオムライスを食べようとしたとき、急に廊下が騒がしくなった。
「何事?」
「炎路が学校に来たんだと!しかもこっちに向かってて…誰かのことボコりに来たんかな……」
太陽はこの世の終わりかのように怯えている。
「えんじ?」
「B組の不登校生だよ。入学早々に問題起こして…ありとあらゆる犯罪を起こしたとか起こしてないとか…って聞いてないよね」
うままままま!やっぱりオムライスは最高だよ!世界が終わるときはオムライスを口に詰め込みたい…。

「おい」

聞きなれない声に、教室が一気に静まり返った。
「うさぎ…」
黄色い頭のその人から、視線はあたしに移る。
「なんだイケメンじゃん…てゆーかあんた何かしたの?」
「あの時の…」
「え!?カイロの!?」
左手に握られた傘に気づき、その人の所に駆け寄る。
「…これ」
一切目を合わせる事無く差し出される傘。
「わざわざありがとう!」
「いや…じゃ」
くるりと背を向けて帰ろうとするその人と、あたしはなんだか無性に話したくなった。
「待って!」
「…は?」
未だに誰も喋らない教室から、大好きなオムライスを抱えて戻る。
「行こ!!」
「いや、ちょ…は?」
その人の腕を掴んで屋上へと走った。

「え!?行っちゃったんだけど!?」
「あれは仲良くなりたい病ね。諦めよう」
「でもまぁ…あいつなら大丈夫かもな」
「生粋のバカだし?」

「なに、何か用?」
「どうして園児って呼ばれてるの?」
「名前だからだろ」
「えぇ!?名前なの!?」
「うさぎに言われたくねぇ」
「あたしの名前はうさみだもーん」
「俺も炎路って名前なの。なぁ帰っていいか?」
「ダメだよ!あたしあなたと仲良くなりたいの!」
不思議そうにするその人に一歩近づく。
「あたしは兎実瑠華!あなたは?」
「炎路…旭哉」
「よろしくねっ!しゅうや」
強引に握手すると、その人は初めてほんの一瞬目を合わせてから…また逸らした。