「あ…の大丈夫?」

ぼんやり雨を眺めていたら、不意に誰かに声をかけられた。
見上げる気力も湧かず、顔を上げることができない。

「これ、よかったら」

身体中に浴びていた雨の感覚が無くなった。

「こうしてっ…と。絆創膏ここに置くね。…あっ、カイロ」

血のついた手のひらが温かくなる。

「じゃ……」

ぱしゃぱしゃと音を立てて、濡れながら走って行く彼女の姿を
俺はまたぼんやりと見つめていた。