テニス部の子たちの視線を感じて、ちょっと不快だった。



教室に入り、先生と私は机を向かい合わせにして座った。

「それで、どーした?美香ちゃん。」


先生に心配そうな目で覗き込まれると、まだなにも話していないのに涙がこぼれた。


「なんか…、えっと…。」


話せる状況じゃないくらいに私は泣いちゃって、でも先生は「ゆっくりでいいよ」って言ってくれた。


その優しさが嬉しくてまた泣いてしまったけど、落ち着いてからちゃんと話した。


詩乃のことをハブっちゃったことも、ちゃんと言った。
どんなふうにハブられたかとかも全部。何もかも話した。


言いながらまた涙が出てきて、頭も混乱して話があっちこっちいっちゃってわかりづらかったと思うのに、先生は「うん。うん。」って聞いてくれた。


そして私が全部話し終わると先生はうーんと唸った。


「やっぱさ、中学生って悩むことあるし、先生も生徒のこーゆー悩みとか去年とか一昨年とかも相談されたりしたことあるんだよねー」


「でさー、やっぱりみんなこの時期なの。悩むの。なんでだと思う?最初の頃はさ、お互いまだ知らないことが多いから、構えながら探り探りって感じじゃん?でも、この時期になると何しても大丈夫ってなっちゃうんじゃないかなー」


「でね、いつもそーゆーときは話し合いをしてるから、3人で話し合うっていうのはどうかな…。私もついてるから。」


先生は言いづらそうにそう言った。


私が話し合いとかそーゆーのが苦手な性格ってわかってくれてるのかもしれない。


「わかる。怖いと思う。美香ちゃんそーゆータイプじゃないし。でもこの詩乃ちゃんをハブっちゃった時のこととか素直に言えるっていうのはすごいと思うから、この美香ちゃんの気持ちは直接伝えたほうがいいと思うんだよね。」


私は正直話し合いが嫌だった。


それでチクったみたいになってこれ以上のことか起こるってことはたぶんないと思うけど、絶対私は1人ですぐ泣いちゃうと思うから。


私は俯いてしまった。