「暗い」
「え?」
空が暗い。空気が暗い。気分が暗い。何もかもが暗い。私には人を大事にする感情「愛」なんてない。
この藍色のようにどこまでも終わりのない闇、決して光に出会えない色
「桜、、、散ってる」
入学早々縁起が悪い。前日は大雨で全ての花びらが落ち、濡れたアスファルトに粉々になってへばりついてる。私にはお似合いの門出。
とにかく目立たないで粛々と平和に卒業したい。願いはそれだけ。
「新入生はこっちから入場ですよ〜」
努力して勉強した甲斐あった。
家から近く、進学校の新設校。
進学校なだけあって、チャラチャラした、面倒くさそうなのはいない。
「よっす〜」
、、、、、、、いた。
赤茶にピアス、校則違反の制服。
長身で細身ながらに筋肉質な男。
、、、まんまDQNじゃねえか。
目合わせちゃいけない。
目立っちゃいけない、、、、
「おい」
「、、、、、、、」
「おい」
「、、、、、、、」
「おい、お前耳ついてねえのかよ」
え、誰に言ってん、、、「うわっ」
振り向くとそこには赤チャラ男が。
「あんたに話しかけてんの」
「え、、、なんで私なの」
率直な意見が漏れる。
「綺麗だったから」
____________.......
「、、、、え?」
「だから、綺麗だったから」
意味がわからない。
「綺麗で凛とした顔が気になったから声かけた」
「ど、どうも、、、、」
って!!!超目立ってる!!!
「あ、あの!ちょっとこっちに!」
__________........
急いで校舎裏には連れてきたものの、、、どうすればいいのか、、、
「え?何?襲われる?意外と積極的だねあんた」
「は?!ば、ばっかじゃないの?!」
不敵に笑うその男は認めたくないけど綺麗な顔でその笑みは王のように堂々と周りの者を黙らせるような力を宿っていた。
「お願いだから、私にはなしかけないでほしいの」
「なんで?」
即答、、、、、、。
「、、、あのね、目立っちゃうから」
「もうすでにあんた目立ってるよ、そんだけ綺麗な顔してよく言うね」
「、、、、、、っ」
父と母がパリコレモデルとして活躍してあっただけ美形な家系だった。
この顔も原因の一つだが、、、
「、、、そ、それでも目立ちたくない、、、目立っちゃいけない、、、」
「?変な奴だな、、、」
しょうがないじゃない。願望じゃない。義務なのよ。
「あ。いいこと思いついた」
「?」
「お前、俺の女になれ」
「、、、、、、、、、、、」
「おーい聞こえて「聞こえてるけど!いや聞こえてるけどおかしくないそれ」
ブッ
「お前面白いな。尚更欲しい」
「人を物のように、、、」
「お前を俺だけの最強で最も美しい女にする、俺の女になれ」
「、、、ごめん、やっぱよくわかんないわ」
なんかいきなり濃い奴に会ったな〜
これが新手の詐欺なのかな、、、
「お前も俺も虫除けになんだろ」
「、、、、、なるほど」
「じゃ、、
「でもいい。自分でよけるから虫は。お気遣いありがとね。じゃ、また会うかわかんないけどじゃあね」
足早にその場を逃げる。
空は雲一つない快晴。それでも
このもやのかかった心は何なのか、
自分でもわからない。いや、分からないというよりかは分かりたくないんだ。
「岳、お前入学早々目立ってんぞ」
「あ?知らねえよ、ちと黙れ」
今の俺は最大に機嫌が悪い。
「絶世の美女にフラれたからって荒れんな、、「フラれてねえよ!」
くっそ〜あの女。
会った瞬間目を奪われた。綺麗な黒髪に猫のような周りを見透かすようなその瞳。その大きな黒い瞳を見た瞬間心さえも奪われた。こんなことは言いたくねえ。でも、運命なんだ絶対、俺とあいつが出会ったのは。
「なあ、旬。あの女の名前しんねえ?」
「え?白雪 雛ちゃんだろ?
そんぐらい知っとけよ〜〜。
まさか、聞いてないの?!岳のくせに?!何ベタ惚れじゃん、超ウブじゃん」
「るせえな」
雛か。あいつにぴったりなようだ。
一見強そうに見えて、何かを守ろう強くなろうとしているように見えるあいつに。
とにかく俺はあいつを自分のものにする。いや、これは義務のような気しかしねえんだ。
はあ。
溜息ばかり出る。朝から変な奴にしか絡まれない。目立ちたくないのに。平和が一番つってんだろ。
歩いてるだけで声をかけられる。
「雛」
何故か大勢の人の中からでも分かる
その声。
「ねえ、あんたって王様の子孫?」
「は?」
そうとしか思えない。この威厳と
重々しい美しい声。認めたくない、認めたくないけどわかってしまう。
そしてその瞳を見つめたい。
見つめて求め合いたい。でも、、、
許されないことなんだ
「ご、ごめん、用あった、、、っ」
逃げる、とにかくあの人の声、顔何も届かない場所に。そうでもしないと、この感情が頭の中を追い越して先に行ってしまいそうで。恐怖を感じたんだ。