「あははっ、照れてる」
「うるせぇ………」
初めて会った時は怖い人かと思ったけど、全然そんなことなかった。
ちゃんと話してみないと本当のことがわからないんだなぁ。
「………まぁ、たぶんお前が聞いた噂の“俺も”案外間違ってねぇけど」
「どういうこと?」
「有紗と似たようなもんだよ。キャラ作ってんの」
どこか切なそうに言う芹澤くんを見てると、なんだかぎゅっと心臓をつかまれたみたいに苦しくなった。
「顔がいいやつが頭悪いとチャラチャラしてそうだとか、運動できないと所詮顔だけかとか、優しくないとこんな人だと思わなかったとか、いろいろ複雑なんだよ」
「芹澤くんは素のままでも十分いいと思うけど」
たぶん今の芹澤くんが“本当の芹澤くん”なんだと思う。
少し口は悪いけど、神崎先生を想って溢れた声はとても優しかった。
わざわざ“優しくする”を意識する必要はないと思うんだけどな。
「ははっ、お前みたいなやつばっかいたらこんな頑張らなくて済むのにな」
笑ってるけどなんだか哀しそう。
かっこいい人とか、可愛い人って普通の人より良い人生を送ってそうだったけど違うみたい。
形は違くても悩みが深そうなのは同じ。
照れた顔も可愛いけど、ちゃんと笑ってる顔が見てみたいよ。