持っていたお弁当を空中へ投げ飛ばし、後ろにいた“あの人”を振り払った。

後ろから「痛ってぇ」と声がする。


勢いで突き飛ばしちゃったよ………ど、どうしよう………。


「ったく、うるせぇな………化け物でも出たようなリアクションすんなっつーの」


「せ、せせせせ芹澤くん……」


現れたのはもちろん芹澤くん。

ダルそうに髪を掻き上げるその姿はかっこいいがとても怖い。

この後怒鳴られるのかと思いきや、

「よっ!隣いいか?」


さっきまでのダルそうな顔とは真逆の爽やかな笑顔で手を振り上げていた。

芹澤くんの本性がいまいちわからない。


「毎時間わたしのところに来ていったいなんの用なの!?」


考えたくもないのに今日は常に芹澤くんの顔が頭に浮かんでいた。


「何って……俺の生徒手帳を貰いに来ただけだけど」


「生徒手帳……?」