「知ってるも何も芹澤くんといえば成績優秀、スポーツ万能。誰にでも優しく接してくれる学年1の爽やかイケメンじゃん!」
「へー、知らなかったなぁ……」
熱く語ってくれた結衣には悪いが素っ気ない返事をしてしまった。
学年1のイケメンなんて全く興味がない。
本当は知らないじゃなくて、知ろうとしないが正解。
「まぁ海里はそういうのに疎いもんね」
「えへへ……」
疎い、か。
噂に疎いというより男関連の事に疎いんだ。
原因は幼なじみの蒼ちゃんのせい。
昔から蒼ちゃんしか眼中になかったわたしにとって、他の男の情報なんてどうでもよかった。
蒼ちゃんは昔からかっこいいし、好きだと気づいてからもっともっと輝いて見えるの。
「どうやって仲良くなったの!」
「だーかーらー!別に仲良くなんてないから!!」
「も〜〜!!隠さないでよ」
もう何を言っても結衣は納得してくれないだろう。
「海里〜」と私の体を揺らしてくるたび力が抜ける。
今日はずっと結衣の質問を浴びて終わる気がするよ……。
放課後まで何事もなく平和に過ごせますようにと心から願った。