「何があっても海里が大切な妹なのは変わらないから安心してほしい」


っ………。

すぐには言葉が出なかった。


安心なんてできないよ。

キスの現場見せられて、許されない恋を知って。

何も知らない蒼ちゃんに怒ってばかりで。


ずっと隣にいるためにわたしは妹にならないといけない。

一生恋愛対象になることはない近すぎる距離。



それでも蒼ちゃんの未来を壊してしまうよりはずっといい。

気持ちがバレた時点でタイムアップ。

終わる世界に足を踏み入れるだけだ。



「蒼ちゃんはわたしのお兄ちゃんだもんね」


「あぁ」



優しく頭を撫でてくれた。


いつもなら嬉しいはずの大好きな蒼ちゃんの手。


だけど今日はとても虚しい。


「じゃあ俺はそろそろ仕事に戻るから」


「蒼ちゃんはここで何してたの?」


「忘れ物を取りに来た。1年生はここで数学やってるんだ」


「そっか………お仕事頑張って」


「おう」