たとえどんな理由があったとしても、キスなんてして欲しくなったの。


蒼ちゃんが好きだから。

わたしの全てだから。


「海里の気持ちはちゃんとわかってる。ごめん」


「えっ……」


やっぱりわたしが蒼ちゃんに恋愛感情を抱いていることがバレてしまったのだろうか。


どうしたらいいの。

わたしの想いは蒼ちゃんの重荷にしかならないのに。



想いを伝えるだけなら許される?

いや、伝えるだけでも問題が起きる可能性がゼロとは限らない。


わたしがこの気持ちを隠すだけで、蒼ちゃんは教師を続けられるんだ。


たったそれだけのことなのに。

難しいよ。

さっきまで告白する気満々だったんだもの。

その気持ちを捨てなきゃいけないなんて辛い。


黙ったままじゃいられない。


何か言わなきゃーーー。



そう思い口を開くと、


「お兄ちゃんが取られるとでも思ったんだろ?」


わたしではない別の声が先に音を奏でていた。